【外国人労働者雇用】問題事例3選と回避方法
日本の労働力人口が減少し、日本人の採用が難しくなっています。そこで、企業が対策として打ち出しているのが外国人労働者雇用です。規制緩和の影響もあり、多くの外国人労働者が日本にやってきています。
しかし、外国人労働者の雇用が増加すれば、その分トラブルも増えます。ですから今回は、外国人労働者によくあるトラブル事例と解決方法について見ていきましょう。
外国人労働者が日本で働く際に起こりやすい3つの問題事例
外国人労働者は、お金をたくさん稼ごうと思って日本に来ています。そのため、基本的には真面目で上司の言うこともよく聞いてくれる人が多いようです。しかし、本人が気づかないうちにトラブルが起こってしまうこともあります。
では、外国人労働者が日本で働く中で起こりやすい問題を解説します。
case1. 日本語でのコミュニケーション
外国人労働者を雇う際に、企業が最も苦労するのは「言語の壁」ではないでしょうか。
社内に外国人社員の母語を話せる社員がいるとは限りません。ですから、英語や中国語など話者の多い言語ではない場合、コミュニケーションを取ることが非常に難しいと頭を悩ませている企業も多いのが現状です。
業務内容や雇用条件をしっかり理解するとともに、一緒に働く日本人社員円滑なコミュニケーションの重要性は切っても切り離せません。母語が同じ外国人労働者が複数人いる場合、日本語の能力が伸び悩むことがあります。それは、公の場であっても母語で会話してしまい、日本語でのコミュニケーション場数が減ってしまうからです。その場合、日本人の社員との意思疎通が難しくなってしまう恐れもあります。
case2. 失踪する
[注1]法務省:技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)
外国人労働者によくありがちなトラブルが「失踪」です。
例えば、法務省が発表した「技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)」によれば、コロナ明けに規制が緩和された令和4年には日本国内で9,000人以上の外国人労働者が失踪しています。[注1]
採用面接時点、研修中あるいは業務中に行方をくらましてしまうケースなど様々です。
基本的に失踪した外国人労働者を見つけることは困難なので、長く働いてもらうための対策を講じることが必要です。
case3. 文化の違い
外国人を雇用した企業が苦労するのが「文化の違いをお互いに理解すること」です。日本人には常識と思えることも、外国人からすると異質に見えることがよくあります。
例えば、職場で起こるトラブルとして多いのが、「残業」に対する認識の違いです。外国人労働者は基本的に残業をしません。定時に帰るのが一般的な国からやってきた外国人労働者は、「なぜ残業をしなければならないのか」をよく理解していません。
また、国によっては勤務時間中に宗教上の理由でお祈りをする人、食べられるものが厳格に決められている人もいます。ほかの人や異性との距離感が日本人とは異なる人もいるでしょう。下記サイトでもいくつか例が紹介されています。
外国人が驚く日本の不思議な習慣・文化・マナー8選 | おうちで親子留学 (eigofamily.com)
外国人労働者とのトラブルを回避する3つの方法
企業は、雇用する前の段階でトラブルを回避する対策を講じることが大切です。いくつか外国人労働者とのトラブル対策の例を見ていきましょう。
①日本語を学んでもらう
日本語が分からなければ、業務をスムーズに行うことが難しくなります。たとえ社内に外国人労働者の母語が話せる人がいたとしても、付きっきりになることはできないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、NPOや各自治体が開催する日本語講習への参加やアプリケーションでの学習です。
参考:日本語教育教材・アプリ | 外国人技能実習機構 (otit.go.jp)
外国人労働者は、勤務時間外や休日などを利用して日本語を習得することで多くのメリットがあると理解できれば意欲的に学んでくれることでしょう。
また、会社の制度として日本語の資格取得を昇給要件にするなど、分かりやすい形でやる気を喚起するのも方法の一つです。
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入社試験や昇給要件にも!
日本の文化や商習慣を理解していただくことを目的として実施しています。習熟度に応じて階級が分けられて、どの程度のビジネス能力を有しているか判別が可能です。
②外国人労働者の労働環境を整備する
外国人労働者が失踪してしまう主な理由は労働環境と実習生の経済的な事情です。労働環境の面では、安い賃金や周りからのいじめ、長時間労働などが原因である場合も珍しくありません。
外国人労働者の失踪原因
賃金等の不払いなど、実習実施者側の不適正な取扱い
入国時に支払った費用の回収等、実習生側の経済的な事情
外国人労働者は低賃金で働く労働力ではなく、日本人労働者と同じ待遇を受ける権利をもっています。日本人同様、職場環境や賃金、福利厚生などの待遇がどうなっているかをしっかりチェックすることも必要です。また、定期的にカウンセリングを行うことなどによって、外国人労働者の失踪を防げるでしょう。
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➂相互の文化への理解を深める
多くの場合、トラブルの原因は文化の違いによるものです。そのため日本人も外国人もお互いの文化への理解と敬意が必要になってくるでしょう。例えば、日本では1日の業務が終わらなかった場合に残業する習慣があることを事前に伝える必要があります。また、残業代が支払われることも合わせて伝えることで外国人労働者にとってもメリットがあることを説明できます。
日本人はあまり直接的な言い方を好みませんが、外国人労働者には分かりにくいこともあります。その場合は、できるだけ分かりやすい表現を心がけるなどして相手に配慮しましょう。社員一人ひとりの心がけが、社内全体の働きやすい環境を作るのです。
外国人採用企業のOJT担当・現場責任者向け
外国(主にアジア圏)と日本の社会や文化の違いを理解することを通して、外国人と働く際に起こるトラブルの対処法を身につけることができます。
教育でトラブルを回避し、”早期戦力化”を目指す
外国人労働者の場合、日本語や日本の文化・社会を知らないことが原因でトラブルを発生させてしまう可能性もあります。
トラブル例
・公共の場や取引先の近くで大きな声で顧客の話をしてしまう
・ミスをしても謝らない
・社内の備品を家に持って帰ってしまう
こうしたトラブルは大事な取引先や顧客との間のトラブルに発展してしまう恐れがあるので、何としても避けたいものです。
そう考えている企業のために、外国人向けの講座が開催されています。外国人労働者向けに文化やビジネスマナー等をしっかり教える講座です。こうした講座を受けてもらうことによって、外国人労働者はより働きやすくなり自分の能力を最大限発揮できるようになるでしょう。外国人を雇用する企業が少し配慮をすることで、外国人労働者の早期戦力化に繋がるのです。
この記事を書いた人
日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也
アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。
著書:『外国人実務能力検定公式テキスト』
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