【3つの施策】日本で働く外国人に必要なサポートは?
外国人が日本で働くためには、受け入れ企業のサポートが必要です。残念ながら、やる気やスキルがあっても、日本の職場に馴染めずポテンシャルを発揮できない方も少なくありません。
この記事では、外国人労働者に日本のビジネスマナーや文化を習得してもらう重要性をはじめ、外国人労働者をサポートする各種行政サービスや、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの社会保険について解説します。
①外国人労働者に対する日本の文化やビジネスマナー理解のサポート
外国人労働者を受け入れるとき、最初の障壁となるのが「言葉の壁」と「文化の違い」です。まずは基本的な日本語能力を身につけ、日本語での挨拶がしっかりできるようにサポートしましょう。しっかり挨拶ができることで、職場の人間関係だけでなく、社外のコミュニティーでも溶け込みやすくなります。
また、日本のビジネスマナーには、外国ではあまり一般的でないものも数多くあります。せっかくやる気やスキルを持っている人材でも、ビジネスコミュニケーション能力が不足していたため、本来のポテンシャルを発揮できないケースが少なくありません。周囲との「ズレ」が解消されないままだと、外国人労働者が社内でどんどん孤立していくきっかけになることもあります。
外国人社員に教える日本のビジネスマナー3つの基本
ビジネスマナーを教えずにいると、思わぬところで失敗をしてしまうことがあります。ビジネスマナーの違いで失敗してしまうと、外国人社員自身も自信を失ってしまいますし、会社の業績にも影響を及ぼしかねません。
【外国人教育担当必読】外国人社員のOJTで注意すべきこと
日本語能力試験N1・N2だからといって、必ずしも日本人と同じように仕事ができるとは限りません。外国人社員が本来の力を発揮するために必要な支援とは?
そこで、日本のビジネスマナーの教育に役立つのが、外国人向けにカスタマイズされた研修プログラムです。基本の「ホウレンソウ」から、仕事の生産性を向上させるチームワークのあり方まで、外国人労働者がつまずきがちなビジネスコミュニケーションを実践的に学ぶことができます。
定着率UP・早期戦力化のための
外国人受け入れ企業研修
日本人社員・外国人社員が互いに多様性を受け入れることを目的とした研修プログラムを多数ご用意しています。
②外国人労働者に対する行政のサポート
外国人の就労をサポートするため、さまざまな支援制度が存在します。外国人労働者を受け入れる企業は、こうした制度を積極的に活用しましょう。
1. 外国人採用をサポートする「外国人雇用サービスセンター」
「外国人雇用サービスセンター」とは、日本での就労を目指す外国人や、外国人採用に取り組む企業のための厚生労働省の機関です。外国人労働者と企業のマッチングを行い、採用後のケアや研修・日本語教育を提供しています。東京・名古屋・大阪・福岡の4都市にあります。
2. 職業生活上のトラブルを解決する「外国人雇用管理アドバイザー制度」
厚生労働省は、外国人労働者を受け入れている企業向けに「外国人雇用管理アドバイザー制度」を提供しています。生活習慣やコミュニケーション上のトラブルが生じたら、お近くのハローワークから訪問相談を申し込めます。
厚生労働省:外国人雇用管理アドバイザー制度のご案内
3. 在留外国人の事務手続きなどを代行する「登録支援機関」
特定技能ビザでの就労を目指す外国人を受け入れる場合、外国人支援計画の作成などの行政手続きや、日常生活のフォローが義務付けられます。国の指定を受けた「登録支援機関」なら、就労外国人の支援を全面的に委託できます。
外国人を正社員で雇う際に必要なビザと手続きの流れ
外国人を正社員として雇う場合、とても重要なポイントとなるのがビザです。今回は、会社の経営者や人事担当の方が知っておくべき就労ビザの種類や取得条件などについて見ていきましょう。
4. 外国人労働者に対する各種保険のサポート
外国人労働者であっても、日本人と同等の加入条件を満たせば、社会保険への加入が義務付けられます。就労中の怪我や病気への備えをはじめとして、外国人労働者の心強い味方となるため、迅速に加入手続きを進めましょう。
種別 | 加入基準 | 年齢条件 |
健康保険 | ・常勤か、常勤の4分の3以上の労働時間がある非常勤
※従業員が500名を超える大企業や、任意特定適用事業所は、以下の条件にすべて該当すれば要加入 ・週の所定労働時間:20時間以上 ・雇用期間:1年以上 ・賃金:月8.8万円以上 ・学生でないこと | 75歳未満 |
介護保険 | 健康保険と同条件 | ・第二号被保険者:40歳以上65歳未満
・第1号被保険者:65歳以上 |
厚生年金保険 | 健康保険と同条件 | 70歳未満 |
労災保険 | 雇用者全員 | なし |
雇用保険 | 雇用期間が31日以上あり、週20時間以上働く場合 | なし |
詳しくは下記の記事をご覧ください。また、外国人労働者に説明をする際には、厚生労働省から出ている資料や用語集を活用するとスムーズです。
外国人の社会保険について採用後の手続きや加入条件などの基礎知識
外国人労働者の社会保険について、加入が必須なのかどうか、条件や手続きに違いはないかなど、疑問や不安に思う方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は、外国人労働者の社会保険について、手続きや加入条件などの基礎知識をわかりやすくまとめました。
➂キャリアアップのための資格試験のサポート
日本での就労を目指す外国人向けに、様々な能力試験が開催されています。
例えば、日本語が母語でない人のための「日本語能力試験(JLPT)」は、現在の日本語能力を5段階のレベルで評価できます。高得点を記録すれば、准看護師試験や医師等国家試験の受験資格を習得できるほか、出入国管理の際の優遇措置が受けられます。
さらなるキャリア形成のモチベーションになるため、多くの受け入れ企業が受験サポートを行っています。
入社試験や昇進試験に活用も!
外国人実務能力検定(PATF)
日本のビジネスマナーや働き方、文化等の理解度を測る検定試験です。習熟度に応じて階級が分けられているので、どの程度のビジネス能力を有しているか判別が可能です。
3つの施策で日本で働く外国人をサポートしよう
今回は、外国人労働者の日本での仕事生活をサポートする3つの施策をご紹介しました。
外国人労働者の最初の壁である言葉・文化の違いを解消するため、基礎的な日本語能力やビジネスマナーの習得をサポートすることが大切です。国や行政が提供する「外国人雇用サービスセンター」「外国人雇用管理アドバイザー制度」「登録支援機関」などのサービスは、受け入れ企業側の負担を軽減し、外国人労働者のキャリア形成の心強い味方になります。
また、外国人労働者であっても、一定の条件を満たせば社会保険への加入が義務付けられるため、受け入れ企業は注意が必要です。やる気やスキルのある外国人労働者のポテンシャルを発揮するため、万全な受け入れ体制を整えましょう。
【助成金対象】外国人採用企業の人事担当者や採用責任者向け
外国人受け入れ管理者研修
自社の外国人雇用に対応するための、在留資格や技能実習制度、外国人労働者の雇用等に関する知識を行政書士と社会保険労務士から聞くことができるプログラムです。
外国人採用企業の人事・採用責任者向け
外国人受け入れ管理者試験
外国人採用に関わる人事担当者様や現場で指導に関わる方向けの試験です。
在留資格や技能実習制度、外国人労働者の雇用等に関する知識や外国人社員とのコミュニケーションの取り方などをどの程度理解しているか判別する可能です。
この記事を書いた人
日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也
アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。
著書:『外国人実務能力検定公式テキスト』