外国人を正社員で雇う際に必要なビザと手続きの流れ

人手不足が深刻化している日本国内では、必要な人材を確保するために外国人を雇用する企業も増加しています。

外国人を正社員として雇う場合、とても重要なポイントとなるのがビザです。基本的に外国人は就労ビザを取得していなければ雇用できません。

今回は、トラブルを防ぐためにも、会社の経営者や人事担当の方が知っておくべき就労ビザの種類や取得条件などについて見ていきましょう。

日本の就労ビザの概要

日本では外国人が90日以上の長期滞在するか、日本国内で仕事をする場合にはビザの取得が義務付けられています。「就労ビザ」とよくいいますが、実はこれは正式な名称ではありません。

就労が可能な在留資格は複数存在し、それらをまとめて就労ビザと呼んでいるのです。そのため外国人を雇用する場合にはどの在留資格を現在持っているのか、雇用するのに問題ないのかを確認する必要があります。

日本の就労ビザの種類

外国人が日本に在留する際に取得する在留資格は全部で27種類あり、そのうち就労ビザは全部で17種類あります。あまりなじみがない言葉もあるかもしれせんが、以下で就労ビザ17種類を確認していきましょう。

  • 教授:大学教授や助教授が取得可能
  • 芸術:作曲家や画家などが芸術活動をするために取得
  • 宗教:宣教師などが寄付やお布施を得るために取得
  • 報道:報道機関の関係者が取得可能
  • 経営・管理:外国人の会社経営者や役員、日本国内で起業を考えている外国人などが取得
  • 法律・会計:弁護士や税理士などの資格保有者が取得可能
  • 医療:医師や看護師、薬剤師などが取得可能
  • 研究:教育機関ではなく企業や政府機関で研究を行って報酬を得る外国人が取得可能
  • 教育:小・中・高校に勤務する教師が取得可能
  • 技術・人文知識・国際業務:エンジニアや通訳、さらに語学学校で教師として働くケースで取得可能
  • 介護:介護福祉士の資格を得た外国人が取得可能
  • 企業内転勤:同じ企業内で転勤する場合に取得可能
  • 興行:歌手やダンサー、スポーツ選手などが取得
  • 技能:特定の分野で優秀な技術を持つ外国人が取得可能
  • 特定技能:特定産業分野に携わる外国人が取得可能
  • 技能実習:日本で技能を習得した後に母国で産業発展をしたい外国人が取得可能
  • 高度専門職:研究・技術・経営などの観点から要件を満たした場合に取得可能

就労ビザの取得条件

就労ビザは外国人であれば誰でも取得できるというものではありません。取得条件はいくつか考えられますが、審査基準が取得したい在留資格によって異なるうえ、審査官の裁量による部分も少なくありません。

たとえば就労ビザを申請する外国人が大学院、大学、短大、専門学校のいずれかを卒業しているか、学士などの称号を持っているかなども審査の対象となるのです。さらに大学などで学んだことと従事する業務への関連性が求められる場合もあります。

そして雇用する会社側の条件もあります。外国人の正社員に対しては日本人と同等、もしくはそれ以上の給与を支払わなければなりません。さらに会社の経営状態が安定していること、安定的な雇用契約が結ばれていることも重要な条件です。1ヵ月ごとに契約を更新するといった極端なケースでは申請が却下されるリスクが高まるでしょう。

就労ビザ取得のために必要な書類

就労ビザの取得に際しては、いくつもの必要書類があります。まず申請者本人が提出すべき書類、企業側が用意すべき書類に分けて見てみましょう。

申請者本人が提出すべき書類

ビザを取得したい申請者本人が提出すべき書類は以下のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 申請理由書
  • パスポートのコピー
  • 在留カード(すでに持っている場合)
  • 申請用写真
  • 履歴書
  • 学歴証明書
  • 在職証明書(実務経験がある場合)
  • 収入証明書(就業実績がある場合)
  • 保有資格の証明資料(何らかの資格を持っている場合)

企業側が用意すべき書類

外国人を正社員として雇用する企業側にも必要書類の提出が求められます。企業側に求められる書類は以下のとおりです。

  • 全部事項証明書(法人の場合)
  • 事業開設届のコピー(自営業の場合)
  • 決算書のコピー
  • 会社案内
  • 労務契約書類
  • 代表者の所得証明
  • 法定調書合計表(前年分の給与所得の源泉徴収票など)

さまざまな書類が求められるので、外国人を正社員として雇用する場合には前もって準備することが必要でしょう。

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就労ビザをスムーズに取得するために専門家の力を借りるのも手

外国人を正社員として雇用する際、就労ビザの取得を援助するのはとても重要です。しかし就労ビザの申請には専門的な知識や経験が必要であり、個人や企業で申請しても許可されないケースも少なくありません。

実際に許可されるはずだったのに、必要書類の不備などで却下されたというケースもあります。就労ビザをスムーズに取得するためには、行政書士に書類作成を依頼するのも手です。確実に優秀な人材を集めるためにも、専門家の力を借りることも検討してみましょう。