外国人社員を募集する方法とは?求人情報の出し方や注意点を解説
中小企業を中心に人手不足が深刻化している昨今では、多くの企業が外国人を社員として雇用するようになっています。しかし、これまで外国人社員を募集したことがない企業の場合、どのように求人情報を出したらよいのか分からないということもあるでしょう。
今回は、これから外国人社員の募集を検討しているという企業のために、外国人社員の募集方法や注意点について解説いたします。
外国人社員を募集する3つの方法
外国人社員を募集する方法はいくつか存在します。その中でもっとも自社に適していると思えるものを選択するのがよいでしょう。代表的な方法を3つご紹介します。
1. 外国人専門の求人サイト
現在日本の総人口は9年連続で減少しており、総人口に占める生産年齢人口(15歳以上65歳未満の年齢に該当する人口)の割合は2019年には60%を切っています。[注1]
こうした状況になって利用者が急増しているのが、外国人専門の求人サイトです。外国人専門の求人サイトを利用すれば、外国人の中から優秀な人材を発掘することができることでしょう。
さらに外国人の中でも、特に英語圏、中国語圏に強いサイトなどが運営されています。そのため、必要な人材やすでに社内にいる人がある程度話せる言語の国の人材を集めるということも可能です。さらに高学歴、ある分野の専門的な知識を持っている人など、ある程度ふるい分けて募集することもできるので大変便利です。
2. 在日外国人向けの新聞やフリーペーパー
あまり知られていないことですが、外国人がよく集まる飲食店や娯楽施設では、在日外国人向けにフリーペーパーが置かれています。英語や中国語、韓国語がほとんどですが、こうしたフリーペーパーに求人情報を掲載するのもよい方法でしょう。
3. 外国人向けの人材派遣会社
外国人向けの人材派遣会社を利用すれば、希望条件に合った人材を見つけてくれることでしょう。派遣会社によって関東圏内に強い、新卒に強いなどの特徴があるので、特徴を見極めたうえで依頼するのがベストです。特に自社で外国人社員を雇用するノウハウを持っていない企業にはおすすめの募集方法です。
加えて日本語学校や大学で外国人留学生を多く受け入れているところがあれば、そうした学校に直接依頼するのも可能です。学校内で就職説明会などを開いているところも少なくないので、参加を検討できるかもしれません。
[注1]総務省統計局:人口推計
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201912.pdf
外国人社員の求人の出し方
外国人社員の募集をするためには、求人の出し方についても知っておく必要があります。
まず重要なのは、日本語がそれほどまだ堪能ではない外国人の方にも理解できるよう、英語や中国語などの言語に翻訳することです。インターネットの翻訳ツールを使うのもよいですが、本当に優秀な人材を多く集めたいのであれば、翻訳専門会社に依頼するのが確実です。多少の費用がかかりますが、正確に条件を伝え、外国人社員を雇用したいという企業の本気度を見せられます。
一方で求人情報の内容に関しては、日本人に対するものと同じで問題ありません。業務の内容、就業時間、契約期間、休日、給与、福利厚生など、求職者が知りたいであろうことは確実に記載しておきます。求人情報をどのくらい掲載できるか、スペースにもよりますが、求職者が安心して応募できる内容にすることを心がけましょう。
外国人社員を募集する際の2つの注意点
外国人社員を募集する際には、以下のポイントに注意しましょう
就労が認められる在留資格を持っていることを確認する
外国人が就労目的で日本に入国する場合、就労が認められる在留資格を持っているかが重要になってきます。たとえば、文化活動、短期滞在、留学、研修などの在留資格で滞在している場合、基本的に就労は認められません。
就労できない在留資格であると知りながら雇用した場合には、雇用主も罰せられる恐れがあるので注意が必要です。違法な職業斡旋業者を利用してしまった場合でも処罰されることがあります。特に業者が労働者から違約金や保証金を徴収しているなら、法律違反です。
外国人を正社員で雇う際に必要なビザと手続きの流れ
基本的に外国人は就労ビザを取得していなければ雇用できません。
今回は、トラブルを防ぐためにも、会社の経営者や人事担当の方が知っておくべき就労ビザの種類や取得条件などについて見ていきましょう。
人種差別のような印象を与えない
続いて注意が必要なのが、募集時の表現です。たとえば「中国人限定」や「韓国語が話せる方限定」のように、ある特定の国籍の人だけを採用もしくは排除する場合、人種差別という印象を与えかねません。場合によってはこういった書き方の求人が出せなくなる恐れもあるので、求人の内容についてはしっかりと考えましょう。
質の高い求人で質の高い外国人の人材を
外国人社員の募集についても同じことがいえます。外国人専門の求人サイトや求人雑誌を利用して、理解しやすい募集要項を作るようにしましょう。そうすれば多くの募集が集まり、結果的にその中から必要な人材を見つけられる可能性が高まります。人手不足を補うために、外国人社員の雇用で難しい時期を乗り越えましょう。
日本人向けの求人でも、質の高い人材を雇用したいと願うなら、ある程度の犠牲を払って質の高い求人情報を掲載しなければなりません。
この記事を書いた人
日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也
アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。
著書:『外国人実務能力検定公式テキスト』