外国人社員に教える日本のビジネスマナー3つの基本
日本の人材不足が深刻化するなか、外国人社員を雇用する企業も増えてきました。しかし、外国人社員に日本のビジネスマナーを教えずにいると、思わぬところで失敗をしてしまうことがあります。ビジネスマナーの違いで失敗してしまうと、外国人社員自身も自信を失ってしまいますし、会社の業績にも影響を及ぼしかねません。ここでは、外国人社員に知っておいてもらうべき日本のビジネスマナーをいくつかご紹介しましょう。
外国人社員に教えるべき日本のビジネスマナー3選
「日本の常識は世界の非常識」という言葉があるほど、日本と世界の文化やマナーは異なるものです。仕事を円滑に進めていくためには、それぞれの外国人社員が母国で慣れ親しんだ文化とは異なる日本のビジネスマナーを学んでもらう必要があります。
1. 時間を必ず守ること
外国人社員の教育で苦労するポイントのひとつが「時間を守る」という概念です。日本のビジネスシーンでは1分の遅刻でさえ命取りになることがあります。製品の納期に関しても厳守なのはいうまでもありません。
しかし、海外においては待ち合わせも納期も遅れることが珍しくありません。ですから、始業時間ぴったりに仕事を始めるのも難しい外国人社員がいても不思議ではないでしょう。加えて、日本では何かを始める時間を守ることは重視されているのにもかかわらず、終わる時間に関してはルーズであることが多く、外国人社員にただ時間厳守を命じても効果が薄いことがあります。
そこで相手の文化や背景に配慮しつつ、日本の文化における時間の考え方を丁寧に伝える必要があります。時間を守ることが人や会社の信頼に直結すること、多少効率が悪いように思えても時間を守ることが同僚や上司、取引先への礼儀や敬意を表すものであることをわかってもらうようにしましょう。ただ頭ごなしに時間を守れと命令するのではなく、日本では時間を守ることがビジネスマナーとして重要視されることを理解してもらえるようにすれば、外国人社員も納得しやすくなるでしょう。
2.挨拶の仕方
日本と外国で文化の差があるのはある意味当然ですが、「挨拶の仕方」に関しても認識の差がある場合が少なくありません。すぐに思い浮かぶ例でいえば、日本人のビジネスパーソン同士の挨拶で握手が交わされることはそれほど多くありません。外資系企業などでなければビジネスシーンで握手やハグなどは行われないでしょう。しかし、外国人社員は日常的に握手やハグを交わしているため、注意していないと取引先を当惑させてしまう恐れがあります。
社内では出退勤時のみならず、外出時や帰社時、外出先で取引先の社員に会った場合などにも挨拶が必要です。どのようなケースでどのような挨拶が必要なのかは外国人社員にとってなかなか難しい問題なので、しっかりと教育する必要があるでしょう。
3. 服装の考え方
日本のビジネスシーンにおける「服装」も外国人社員にわかってもらわなければならない文化・習慣のひとつです。日本のビジネスパーソンは男性であればスーツ、女性は比較的自由度が高いとはいえ会社ごとにある程度のルールがあります。クールビズだからといってジーパンにTシャツで出社することはあり得ないという会社がほとんどです。
しかし、外国ではみんな同じような服装をするという習慣がないことが多いのです。服装は各自が自由に決めてよいという企業も少なくありません。ただ、日本では時と場合によって、スーツを着ていないのは相手への敬意が足りないと思われてしまう恐れがあります。この点も入社したときに外国人社員に知っておいてもらうべきポイントでしょう。
外国人社員に日本のビジネスマナーを教える際の注意点
外国人社員にビジネスマナーについて知ってもらうための注意点がいくつかあります。まずは、言語の壁があることを理解しなければなりません。日本語をネイティブ並みに理解できる外国人社員は少ないのです。したがって、できるだけわかりやすい言葉を使って丁寧に教える必要があります。場合によっては日本語の習得をサポートする体制を整えることも大切です。
そして、外国人社員の背景や文化に敬意を示しつつ、日本には日本のマナーがあることを伝えます。さらに、外国人社員だけに教育が行われているわけではなく、日本人社員にも同じ教育が施されていることを理解してもらえば、外国人社員も教育内容を受け入れやすくなるでしょう。
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外国人社員を多数雇用している企業の場合、日本の文化や日本特有のビジネスマナーの教育を現場に任せておくより、外国人社員向けに時間を取って行った方がより効果的に教育を施すことができます。文化・背景にかかわりなく日本のビジネスマナーや働き方・文化について知ってもらうことで、社内外でのトラブルを未然に防ぐことができるのです。さらに、外国人社員がより理解しやすい英語などの言語で研修を行うことも有効です。外国人社員が日本のビジネスマナーや働き方・文化について理解を深められるよう、外国人社員向けの研修・検定試験を検討してみましょう。
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この記事を書いた人
日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也
アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。
著書:『外国人実務能力検定公式テキスト』