外国人採用における手続きの流れを分かりやすく解説

高齢化社会は、多くの企業が抱える悩みの1つです。高齢者人口がどんどん増えていくということは、比例して労働人口が低下するということです。企業の将来を左右する深刻な課題であるため、明確な解決策を講じなければなりません。

そんな中、外国人労働者の採用は効果的な解決策でしょう。しかし、採用における手続きの流れは日本人を雇用するときと異なるため、注意が必要です。

外国人採用における手続きの流れ

外国人労働者は、深刻な人手不足に悩まされている企業の救世主となりうる存在です。しかし、正しい手続きを行わなければ不法就労となり「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金」が科されます。正しい手続きをおさえて、人材不足の解決に努めることをおすすめします。

在留資格の有無の確認

外国人を採用するにあたり、在留資格の有無はもっとも重要です。職種に適した在留資格を取得していなければ、働かせてはいけません。日本政府から付与される在留資格は全部で19種類あります。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 経営管理
  • 法律会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 技能
  • 技能実習
  • 高度専門職
  • 介護
  • 特定技能

たとえば、システムエンジニアとして外国人を採用する場合、その外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得していなければなりません。国内での転職をしていて所持していないことも想定されます。この場合は、これから申請して取得する必要があります。

内定後の雇用手続き

内定が決定すれば、続いては雇用手続きです。雇用する外国人と直接話し、賃金など労働に関する条件を取り決めて、書面による雇用契約を締結しましょう。

日本では書面による雇用契約を後回しにする傾向にありますが、日本と外国では文化や法律が大きく異なるため、認識の差からトラブルに発展してしまいかねません。

書面による雇用契約を重要としている国は多いとされています。トラブル回避のため、話がまとまった段階でしっかりと作成しておくといいでしょう。なお、採用する外国人に合わせた言語での翻訳文を作成しておくことも大切です。

就労ビザ申請について

雇用手続きを結んだあと、企業側は必要な書類を用意して就労ビザ(在留資格)を申請します。就労ビザが無ければ働かせてはならないので、就労ビザが取得できてから雇用契約書など諸々の手続きを行いたいと考えるかもしれません。しかし、就労ビザの申請には雇用契約の締結が必須です。

そのため、内定を決定する際は、就労ビザの申請が通るかどうかも加味しなければなりません。就労ビザの申請が通るためには、決して簡単ではない資格や条件を満たす必要があります。

しかし、この点を踏まえて内定を出さなければ、後々徒労になりかねないといえるでしょう。就労ビザの申請が通るか不安であれば、行政書士など専門家に相談することをおすすめします。

就労ビザの申請が通るかどうかは、以下の条件を参考にしてください。

  • 採用を検討している外国人が専攻内容を大学や専門学校で習得し卒業しているか
  • 採用を検討している外国人がその職業に対して10年を超える実務経験があるか

外国人雇用状況届けの提出

さまざまな手続きが済み、晴れて採用が実現したからといって、それで終わりではありません。外国人を働かせる場合は、外国人雇用状況届けを提出する必要があります。

外国人雇用状況届けとは、雇入れおよび離職するときに厚生労働大臣に対し提出するものです。例外なく、すべての事業主が提出しなければなりません。届けの提出を失念してしまうと、30万円以下の罰金が発生します。

外国人雇用状況届けに記載する内容は以下のとおりです。

  • 雇用する・していた労働者の名前
  • 在留資格
  • 認められている在留期間

必ず覚えておきましょう。

採用後ほかに必要となる手続きは基本的に日本人と同じ

雇用契約を交わし、就労ビザが認められ、外国人雇用状況届けの提出が済めば、日本人と同様に必要な手続きを行いましょう。労災や雇用、健康保険、厚生年金に加入します。

もちろん、日本人と同様に日本のルールで税金が課せられるため、所得税や住民税も発生します。育児や介護のための休暇、労働基準法なども同様です。

認められている在留期間内に更新手続きを行う必要がある

在留期間がいつ満了するのか、経営主は確実に把握しておきましょう。満了してしまっているのに働かせ続けてしまえば不法就労です。在留期間内に更新手続きを行いましょう。

在留期間更新許可申請書をはじめとした必要書類を提出して申請します。企業側が作成する書類もあります。

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外国人採用後の実務能力研修のススメ

外国人を採用するには、日本人を雇う場合とは異なる点があることを覚えておかなければなりません。それは、今回ご紹介した外国人採用における手続きだけに限らないことです。外国と日本では文化の違いがあるため、外国人向けにビジネスマナーなどを含んだ実務能力研修を行うことも大切です。

日本人を採用するのとは勝手が異なるために、外国人の採用を見送ったほうがいいと考えるかもしれません。しかし、外国人の採用は国内の労働人口の減少に対する効果的な対策であると同時に、優秀な人材が眠っている可能性も十分に考えられます。特に、文化の違いは懸念することばかりでなく、違った視点から斬新な発想が生まれることも期待できるでしょう。

 

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この記事を書いた人

佐々木敦也

日本ビジネス能力認定協会理事 佐々木敦也

アメリカ駐在を経て、1991年にソフトウェア会社を設立。代表取締役として会社を経営する傍ら、外国籍社員の採用・育成を行う中での経験を教材にまとめ、2015年に日本ビジネス能力認定協会を設立した。

著書:『外国人実務能力検定公式テキスト

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